こんにちは、天方です。
Magento Enterprise Edtion(以下、Magento EE)の新バージョンである1.13では何が変わるのでしょうか。
一番はパフォーマンス、スケーラビリティの向上だそうです。
では、具体的にはどう向上するのか?今回は、Magento Imagine 2013で聞いてきた話をしたいと思います。
インデックス更新処理の改善
一番の改善ポイントはインデックス更新処理の改善です。
Magento EEは大規模サイトで大量の商品を扱うための基本的な性能を備えています。フルページキャッシング機能があるので、商品詳細ページの表示も非常に高速です。
ただ、非常に商品数が多い場合には課題もありました。それがインデックスの更新時間です。
Magento のインデックスは商品一覧や検索のページでソートや絞り込みなどを高速に行うためのデータです。インデックスのデータを生成しておくと、大量の商品が登録されている場合もソートや絞り込みを高速に行うことができます。しかし、このインデックスの更新処理にはこれまで結構時間がかかりました。
100万商品登録したMagento EE 1.13と1.12.0.2で全インデックスの更新処理にかかる時間は下の表のようになりました。
EE 1.12.0.2 | EE 1.13 | |
---|---|---|
全インデックスの更新処理 | 5時間48分 | 59分 |
EE1.12.0.2だと、業務時間中にインデックスの更新しても次の営業日まで反映された状態を見れないこともあったでしょう。EE1.13ではその日のうちに確認できるため店舗の運営者にとってもうれしい向上ではないでしょか。
部分インデックス更新機能
EE1.13では新しく部分インデクシング更新機能が追加されました。いままでは商品説明、価格、在庫の更新をするとその度に全インデックスの更新が必要でしたが1.13からは部分的なインデックスの更新が可能になりました。
50万商品登録した環境でEE1.12とEE1.13でインデックスの更新時間を比較したのが下の表です。
EE 1.12 | EE 1.13(20商品) | EE 1.13(20商品) | |
---|---|---|---|
商品説明の変更 | 84分 | 4秒 | 6秒 |
商品価格の変更 | 9分 | 0.86秒 | 1.2秒 |
在庫の変更 | 56秒 | 0.11秒 | 0.21秒 |
EE1.13では部分更新ができるようになり時間が非常に短縮されたことがわかります。
ベンチマーク
Magento社では性能を評価するための標準マーチャントプロファイルというベンチマークの標準環境を定義しています。
この環境でベンチマークを行ったところ、商品のブラウジング、商品の追加、注文の確定で、それぞれ向上していて、ページ読み込み速度が65%向上したとのことです。(訪問者:5万人/日、ページビュー:100万/日、注文:1万8千/日、ピーク時のオーダー数は、4時間で3千件、同時接続ユーザ:1千人を想定)
この環境での一日に処理できる注文数は、2万6千件から3万4千件に、ページビューは520万から678万に向上したとのことです。
実際の店舗での例
実際の店舗でEE1.13へアップグレードした場合の紹介もされていました。
例1)
パートナー:GORILLA
店舗:非公開(商品数38万件、EE1.12からEE1.13へアップグレード)
全インデックス更新時間:30時間→8時間
例2)
パートナー:theOTHERMEDIA
店舗 :Paul Smith(商品数3万件、店舗ビュー数4店舗、EE1.12からEE1.13へアップグレード)
全インデックスの更新速度:8倍
例3)
パートナー:NBS systemとAdFab digital factory
店舗:GEMO(商品数 6万、ピーク時の1日のサイト訪問者15万人,ピーク時の1日の注文数4600件、店舗ビュー数1、EE1.9からアップグレード)
トップのページ読み込み時間:2.22秒→0.08秒
商品一覧のページ読み込み時間:5.15秒→0.62秒
カートへの追加のページ読み込み時間:9.25秒→6.25秒
まとめ
従来のMagento EEでは商品数も注文数も非常に大きいサイトではインデックス更新に課題がありましたが、今回のバージョンアップでだ解消されたといっていいのではないでしょうか。
今回の報告が、商品数が数10万件ある場合や、一日のPVが数10万〜数100万あるようなサイトのECシステムとしてMagento EEを検討する一つの契機になればとお思います。
また、Magento EE1.13のより詳しいベンチマークの結果はこちらで公開されているようです。ご興味がある方はご参照ください。